重ねられた生活 20191009~1015

1009(Wed)

台風に備えていろいろと動こうと思っていたのだけれども、出足が遅れたのと気分がすぐれないのとで結局ほとんど普段と同じような家事をこなすにとどまってしまった。でもこの部屋に何があって何がないのかを確認するところまでは至ったので、残りの数日でなんとかしようとは思っている。突然襲ってくるわけではないものくらい、できうる限りの備えはしておきたい。それにしても、社会はギリギリまで動こうとするし、動かそうとする意志も大きく渦巻いている。息も絶え絶えに「何とかなったね」ではなく、もっと余裕をもって事態に構えておけるようになればいいのにね。もちろんこれは何とかなる前提で話している。そういう傲慢さみたいなものは引き受けた上で。でもまあ、余裕があったらかえって何もしないみたいなことはあるのだろうけど。
 
 

1010(Thu)

先日から足がどうしてか痛くて、いたいいたいと他人に言っても仕方がないから黙っていた。仕方がないってなんなん、と言われることは結構あって、でも仕方がないじゃないですか。きみに言っても仕方がない。ただの事実だ。他人とそういうものを共有したいと思うのは、どうしてもその人の人生に介入するようで苦手だ。他人の瞳に映るのは、私の皮膚と洋服で、たぶんそれが外の世界にとっては「すべて」であるべきだと思っている。それぐらいの浅はかさが健全だと思うし、それ以上は過剰でしかない。それに私は傲慢だから、「生きていて、一緒にご飯食べていたらそれでいいって思ってくれないかな」とも本気で思っている。足が痛いということを本当の意味で共有するなら、同じ怪我をしてもらうしかなくて、そういうことを望むエネルギーは私にはない。(p.51-52)


ひざを打つわけなんだけど。

身体の変化発見次第 わざわざ報告させてよ ねぇ

カネコアヤノ「車窓より」

これにだって激しく首肯してしまう。でも、この2つって僕は同じことをいっているのだと思うのだ。
 
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1011(Fri)

夜中に帰ってきてはもろもろ済ませた後、あちこちの補強や浸水対策、停電と断水への備えをした。ほぼ夜通しであった。恋人は傍らでまあなんとかなるでしょ、という感じで。育ってきた環境が違うから(©まさやん)この辺はお互いやりたいようにやればいいのではというのが染み付いており別段問題にはならないのだけれど、世の中にはこのあたりのすれ違いが重大な事態を引き起こすこともあるのだろうと思うなどした。いつでもそちら側に転じてしまうことだって、誰にでも起こりうる。そういうふうに認識している。

なんていうとどうやら理性的らしいぞということになるのだけれども、実際にはこうやって巡らせている時点で、ある種のバランスを取ろうとしているのだろうなというのがわかる。これが機能しているうちはたぶん大丈夫なのだろうから良いのだけれども。(たぶん、が取れることはなさそう)

恋人はもともと台風が日常茶飯事の地域の出身で、肝が座っていて良いことであると思った。僕は今回に限らず、水が絡むとなるとどうしても311のことを思い出さざるをえないのだった。怖いと思っていた。そして僕には自分ばかりでなく、この人の身も守らねばならないのだという気持ちがあり、確かに緊張していた。
 
 

1012(Sat)

それで朝からは避難に備えて持ち出し袋の整理をして、あとはずっとnhkにかじりついていた。部屋にはひっきりなしにエリアメールの着信が鳴り響き、より川に近い知り合いは避難所へ向かったようだった。ベランダには水が上がってきており、動けるうちに動くかとも思ったけど、不気味なほど雨風が止む時間帯があって、そのうちに水が引いていった。夜になりテレビで居住区の名前が頻繁に放送されるようになると各地から身を案じる連絡が届くようになった。感謝と無事とハザードマップ上、水害の心配はない地域である旨を伝えつつ、これからの時間は何かあったら外に出るのではなく、より上階の人に助けを求めようと決めていた。

結果的には何事もなく、避難した人も無事に帰れそうではあったのだけれど、全貌が見えないこの段階での深刻な被害と緊迫感があって、夜が明けたらいったいどうなってしまっているのだろうと考えていた。
 
 

1013(Sun)

映像を見て心を痛めた。自分いついては、次はもうちょっと上手に準備ができそうだなと思った。その機会は必ず訪れるだろう。だから、こちら側が学び対処していくしかない。
 
 

1014(Mon)

被害が少なかったところはほとんど日常だった。恋人の用事のおともをして苦手な街を2つはしごしたらクタクタになってしまった。帰りにケーキを買った。
 
 

1015(Tue)

Netflix『リズム+フロー』を見始めた。面白い。

 
いわゆるオーディション番組で、なんかフォーマットとかあるんだろうなあとか思いつつ、審査員の3人がとにかくスターという感じでいい。初回のゲストであるスヌープ・ドッグがめちゃくちゃ存在感あってかっこいい。個人的にはアンダーソン・パークが好きなので、彼の登場のところでテンションがあがったし、そこからオーディションに臨んだ女の子が今のところ一番好きかな。語彙。
 
今週はここまで。