重ねられた生活 20191106~1112

1106(Wed)

花のある生活を久しぶりに迎えている。
 
今回は自分の楽しみのためではなくギフト用なのでいつも以上に枯らしてしまうことに対して怯えている。渡す当日に買いに行ければ1番ではあるのだが、そうもいかないのが小市民。もっと自由に使える時間が多ければいいのにね。

花はいい。料理もいい。自分がした通りの反応が返ってくる。因果応報。思い通りに行かないことが多い世の中で、自分にとっては物事が思い通りに行くことよりもあるいは重要なのが、自分がしたことによってそうなった、が感じられるということ。「見ればそうなる」にせよ、「したからそうなった」にせよ、自分が自分の世界で生きているということがよくわかる。思い通りに行くことだけが自身をコントロールしていることにはならないだろう。うまくいかないことも含めて、自分がそうしたからそうなったということが整頓されている(あるいはそう感じられる)状況をこそ「コントロールされている」と思いたい。音楽を聴いてぶっとんだり映画を見てこれまでの人生のあれやこれやを答え合わせして嬉しくなったりするのも、全ては自身の選択と決断の帰結であってほしい。僕は、僕の人生を生きたい。
 
 

1107(Thu)

今日は音楽の話をしましょう。
キング・クルールがエドガー・ザ・ビートメーカー名義でプロデュースしているロンドンのラッパーjadaseaのEPがよかったです。今週1枚目のBNMかな。

 
こちらはCold War Kidsの新作。ちょっと驚いたのは、スタジアム志向みたいな音作りになった時期があって、そこから少し離れてしまってたのだけれども、今回はずいぶんR&Bの香りのする佳作になっているということ。初期2作にはかなわないけれど、これはこれで聴きごたえのある作品だ。 

  
   

1108(Fri)

引き続き音楽を。Andy Stottの新作。悪いはずもなく、やはりこれもBNMに推したい。来年は新アルバムも控えているとのこと。大変に楽しみである。

 
   

1109(Sat)

仕事終わりにケーキ屋に飛び込んで、予約していたケーキを受け取った。隣では大学生くらいの女の子たちが、友人に送るメッセージを考えていた。善性の集合というか、ギフトショップとか祝い事に使うような店というのは、なんかポジティブな空気が流れていてよい。クリスマスのことが好きなのは祝祭の空気感がそれぞれの生活にまでいきわたって、街の雰囲気が善性に近づくからなのだった。祝いのあり方は人それぞれで、なかにはお互い相容れないようなものもあるとはいえ、そこに漂う祝いの念だけは積極的に受け入れたい類のものだ。
  
 

1110(Sun)

恋人に誕生日の贈り物ができたところまでは良かったんだけど、そのあとゴタゴタしたことがあって終電間際に自室と恋人の部屋を往復するはめになって大変だった。結局そのまま恋人のもとに泊まらざるをえなくなり、一夜を過ごしたのだけれども、恋人の親族が夢枕に立っていて、金縛りにあってしまった。会ったこともない、もう亡くなってしまったその人に、僕は大丈夫ですお任せくださいと繰り返していた。

 

1111(Mon)

それで朝方に恋人の部屋を出て、上りの電車に乗った。けっこう早めのに乗ったはずなんだけど、それでもほぼ満員で、やっぱりすげえなあと思った。上京してすぐのころ、こんな乗り物に長く乗っていたら、長く乗る前に死んでしまう!と感じて以来、職場へ向かうのに下りの方向になるように部屋を選んでいる。たまにラッシュの時間帯にのぼり方面へ向かう仕事もあるが、やはり久しぶりにこの感じをくらうと、どうしたってこんなもの健全じゃない、という気持ちを改めて持ってしまう。
 
皆が目を閉じている車内でまた祈りのことを考えていた。いまだに君のことを思い出すことがある。ある、というか、正確には毎日思い出している。
 
夜中になんとなく映画版の『リバーズ・エッジ』を見てしまった。引っ越ししてから、原作どうしたっけな。

映画『リバーズ・エッジ』、主題歌「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」入り予告編

とても好きな話なのだ。地方都市の鬱屈と、環境と感情のどうしようもなさ。忠実になぞっているようでいて、映像でしか表現できないこと、漫画だからこそ描けたことが確かにあることをちゃんと示していたと思う。ドキュメンタリー的な挿入があったこと、僕は意味があったと感じている。そしてとにもかくにも二階堂ふみだ。主人公・ハルナの空虚さとそれゆえの苦しみを見事に演じきっている。生きている若草さんが好きだよと告げられて自分が死体と同じだという事実と向き合わざるを得なくなった瞬間の嗚咽、表情を撮らない演出が良かったし、それを表情以外で分からせられるほどには、序盤から彼女の演技には説得力があった。そんなこんなを感じながらエンドロールを眺めていて、ああそうだ、小沢健二の新作がもうすぐ出るんだ、と思い至った。
 
 

1112(Tue)

夜更かしをしたせいで朝がつらかった。
 
 
今週はここまで。